環境省 植生図づくり
環境省が自然環境保全基礎調査として進めている植生図作成についての中四国ブロック会議.13時30分~16時30分,岡山市にて.
日本では1/50000のスケールの植生図が国土全域にわたって作られている.1980年代に環境庁によって推進された事業.何回かの小さな見直し過程を経て,今,完全な作り直し作業が進められている.今回は1/25000のスケール.ブロック会議では,それぞれの地域で行われる調査手法や,その調査で確認される植物群落に対してどのような名前(凡例)を与えるかを検討する.個々のブロックでの検討結果は,「凡例検討部会」で日本全体での整合性が検討され,植生図に反映される.
中四国ブロックには座長の波田先生(岡山理科大学学長)や,清水先生(もと鳥取大),豊原先生(もと広島大),石橋先生(もと広島大)をはじめとして,石川先生(高知大),末廣先生(香川大),松井先生(松山東雲短大),西本先生(岡山県自然保護センター)といった植生学のスペシャリストが集まっている.僕はそのような場に加えてもらえていることに恐縮しつつ参加している.
それぞれの地域をくまなく歩き,現場を見続けてきた先生方のリアリティのある話は,とても面白い.そして,群落の分布を決定づける環境要因がどのようなものであるのか,その経験に基づく群落(あるいは群集)の区分に係る見解はとても勉強になり,刺激的だ.
植物社会学的調査に基づいて作られる植生図は,現場で直観的・経験的に把握される諸々の環境要因と,そこに生育する植物との関係が総体として把握され,表現されている.少し前までは環境因子を面的に把握し表現することが難しかったので,植物群落の分布境界は「えいっ」と描かれてきた.けれども今はGISの発達や空間情報の整備によって,環境要因を面的に表現することが可能になってきている.そのため,環境要因とそこに成立する植物群落との対応関係がきちんと整理され把握されれば,群落の境界を今まで以上に科学的に(つまり検証可能な形で)描くことができるようになるはずだ.そのような技術は,僕たちの研究室で蓄積されてきている.
僕は先生方が現場での経験から把握してきた環境要因と植物群落の分布との対応に関する話を聞きながら,植物群落の分布を決定づける鍵となる環境因子をどのようにして切り出し,どのような方法で地図に表現したらいいのだろう,なんてことを考え続けていた.そんなとき,植生調査業務を行っている若手技術者から,同様のアイディアでの植生図作成を,今回の業務の中で試してみたいということが提案された.結果が出るのがとても楽しみだ.
ちなみに,今回の植生図作成は9年にわたって続けられているが,現在の整備率は国土の40%弱にすぎない.このままでは,国土全体の植生図が完成するまで,まだ10年以上かかることになる.そのため,もっと効率的に植生図を作成するための方法や,作成される植生図の利活用のあり方についての検討が「技術手法検討部会」で行われている.GISを駆使した研究を行っている原さん(東京情報大/景観生態学会副会長)が座長で,5人のメンバーのほとんどは景観生態学会の中核を担っている方々.この検討部会で,僕は植生図作成の過程をもっと体系化して国土モニタリング手法として構築すべきだと主張してきていて,そのアイディアは今年度からワーキンググループでもんでいくことになっている.
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