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2008年12月15日 (月)

「科学技術と人間」研究開発領域 全体会議

JSTによるプロジェクト,「地域主導型科学者コミュニティの創生」を含む研究領域全体の合宿形式の研究会。昨年度から動いているプロジェクトが4つ,今年度から4つ,計8つのプロジェクトの内容について紹介しあい,議論し,相互認識を深めるのが目的。

12月14日~15日,「IPC 生産性国際交流センター」(逗子)にて。長野での研究会と同様,議論は夜中まで続いた。頭がクラクラするような刺激。楽しかった。

知のユーザーが特定しにくいもの,明確なもの,中身に違いはあるけれど,それぞれに新しいコミュニケーション手法を模索・構築し,社会的解を形成していくための道筋を与えようとしている。

中でも印象に残ったのは,研究そのものと少し離れてはいるけれど,滋賀県長浜市の住民が持つ地域力。上勝とは少し違った特徴がありそうで,訪ねてみたくなった。藤居さん(長浜市企画部企画調整課 副参事)は,地域の中での“つなぎ役”としての行政の役割を認識し,それを楽しんでいるよう。活力のある市民がいて,それを後押しする行政がいる地域は力強い感じがする。

また,高知工科大学で進められている木質資源の農業利用システム。間伐材や竹材をペレット化して,ハウス栽培の暖房燃料に利用していくというもの。徳島でも検討して挫折していたのだけれど,永野さん(高知工科大学社会マネジメント研究所 教授)に話をうかがったところ,コスト的にも大丈夫なシステムとなっているとのこと。徳島県の担当者とも一緒にうかがって,話を聞きにいく約束をさせてもらった。

そして,行岡さん(東京医科大学救急医学講座 主任教授)による,救急医療の現場で必要な“納得解”。ERにはすでに意識のない状態の患者が運ばれてくることが多く,医師は本人の意思を聞く間もなく治療にとりかかる。家族も患者の死後に説明を聞くことが多い。医師も家族も,互いにどのように納得を得ていくのか,その方法を考えたいとのこと。今までそのような視点でコミュニケーションを考えたことがなかったので,とても新鮮だったし,身につまされた。それにしても,行岡さんの医療に対する誠実さ,実直な考え,整然とした論理に基づく話しぶりは,卓越したコミュニケーション技術だった。

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会場となった「IPC 生産性国際交流センター」からは海を挟んで富士山を眺めることができる。朝やけの富士山に感動。

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[領域目標]

(1) 科学技術と社会の間に生ずる問題について、関与者が協働して評価・意思決定し、対処する方法及びシステムの構築に資する成果の創出。

(2) 社会との相互作用を通した科学技術の変容の実態・課題の把握と対応方策の提言。

[領域全体会議の目的]

(1) 領域マネジメントをする総括、総括補佐、アドバイザーと研究開発プロジェクト実施者が、領域目標を達成するための意識・情報共有を図る。

(2) プロジェクト間の情報交換の場を持つことで領域全体としてのネットワークの構築を目指す。

(3) 社会を巻き込んだ研究を進める上で、研究開発として何ができるのかを検討し、お互いの連携可能性を探る。

[プログラム]

◆ 1日目

13:00 - 13:05 挨拶  有本建男

13:05 - 13:20 社会技術研究開発センターとは  佐藤雅裕

13:20 - 13:30 領域(プログラム)が目指すところ  村上陽一郎

13:30 - 13:40 合宿の目的、領域の運営方針  福島杏子

13:40 - 13:55 自己紹介

13:55 - 14:25 マネジメント側からの話題提供 その1  武部俊一

14:25 - 14:55 マネジメント側の話題提供 その2  小林傳司

15:10 - 18:40 平成19 年度採択プロジェクト中間報告

 地域に開かれたゲノム疫学研究のためのながはまルール

   明石 圭子(長浜市健康福祉部健康推進課 副参事)

 先進技術の社会影響評価(テクノロジーアセスメント)手法の

 開発と社会への定着

   鈴木 達治郎 (東京大学公共政策大学院 客員教授)

 森林資源のエネルギー化技術による地方の自立・持続可能な

 地域経営システムの構築

   那須 清吾 (高知工科大学工学部社会システム工学科 教授)

 市民と専門家の熟議と協働のための手法とインタフェイス組織

 の開発

   平川 秀幸 (大阪大学コミュニケーションデザインセンター

   准教授)

18:40 - 18:50 事務連絡 事務局

◆ 2日目

9:00 -  9:10 一日目のおさらい 福島杏子

9:10 - 10:50 平成20 年度採択プロジェクトの紹介

 地域主導型科学者コミュニティの創生

   佐藤 哲 (長野大学環境ツーリズム学部 教授)

 政策形成対話の促進:長期的な温室効果ガス(GHG)大幅削減を

 事例として

   柳下 正治 (上智大学大学院地球環境学研究科 教授)

 海域環境再生(里海創生)社会システムの構築

   柳 哲雄 (九州大学応用力学研究所 所長/教授)

 多視点化による「共有する医療」の実現に向けた研究

   行岡 哲男 (東京医科大学救急医学講座 主任教授)

10:50 - 12:00 【体験学習】 AED を知ろう!  行岡哲夫

13:00 - 15:50 【グループワーク】プロジェクトのマッピング

         平成21 年度の公募に向けて

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