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2012年1月21日 (土)

第2回フォーラム 「仙台湾/海岸エコトーンの復興を考える」

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第2回フォーラム 「仙台湾/海岸エコトーンの復興を考える」,13:00~16:30,東北学院大学土樋キャンパス8号館・押川記念ホール。大きな会場にたくさんの人。

 原さん(東京情報大)からの挨拶。そして平吹さんらのグループによる発表。想いと活動,海岸エコトーンとは,南蒲生/砂浜海岸エコトーンモニタリング,復興支援に繋げるために。海岸エコトーンは,浅海〜沖積平野の間の幅1.5kmほどの範囲。700年ほど前に形成された。南蒲生/砂浜海岸エコトーンのモニタリング,1100地点ほど。調査の基盤構築,自立的再生過程の確認,人のネットワークづくりをめざす。強度の自然と人の豊かさが持続し得る復興へ。
 斎藤さん(宮城環境保全研究所)。大震災前後の仙台湾岸の微地形変化,最大で水平方向5.3m,上下方向1.2mの変化。金華山周辺が最大。5mDEM解析では,仙台湾岸では水平方3m,上下で0.3m。蒲生干潟周辺から名取川までの海岸部・河口部は著しい崩壊。内陸側水田域で沈下しているよう。測量による地形変化検証と土壌調査。細かな微地形の平坦化の確認。土壌については残存マツ林では以前の土壌層の上に10cm程度の堆砂。崩壊マツ林では以前の腐食土壌は削られて消失した後に津波による堆砂。砂浜堤は砂が厚く堆積。ヨシ湿原では土壌が消失した後に堆砂。
 菅野さん(宮城環境保全研究所),南蒲生モニタリングサイト,津波後の植生。砂浜;ハマヒルガオ,ハマエンドウ,カモノハシなど群生する場所あり。海岸林:再生しているコナラも。マツ林内:倒れたマツの後(ギャップ地),ハリエンジュの実生とヨウシュヤマゴボウが繁茂。残存マツ林内:シロダモ,シャリンバイなども残存。水田:イヌビエ,エノコログサの繁茂。センダイハギ,オカヒジキ,アイアシ,オミナエシなどRDB種も確認。全体では150種程度。ハリエンジュ等の外来種の動向には注意する必要がある。
 富田さん(東京情報大)。今回の津波は600年インターバルの撹乱。空間的にも広大。海岸林への影響は? 組成と構造の現状,再生の可能性について。マツ被害の類型:傾倒,曲げ折れ,根返り,流亡。健全な状態で生残したマツは直径10cm以上・樹高7m以上に限られる。津波波高7mと一致? 海側の若いマツ林(樹齢20年ほど)は,ほぼ壊滅(傾倒,曲げ折れ)。サクラ属,コナラ,アオダモなどが内陸側マツ林で定着・生存。内陸・海側ともにハリエンジュが多数生存=不定芽由来。
 郷右近さん(東北学院大),海岸エコトーンの昆虫。昆虫の生残・回復状況,リスク要因について。任意採集(ネット),ライトトラップ,砂ふるい,ベイトトラップなど。12目92科307種を採集。蝶,甲虫,カメムシで80%程度。海浜性昆虫は夏以前は激減,その後徐々に回復傾向。地表生活者のゴミムシ類,ヒシバッタなど,砂地に巣をつくるアリジゴクは夏以前は皆無。マツヨイグサ類の繁茂に連れてセスジスズメの幼虫増加。水たまりのボウフラ,ミジンコを餌にゲンゴロウ科やトンボ類が増加。砂浜性のRDB種も生残。仮設防潮堤の工事に伴う砂浜の荒廃が,砂浜の昆虫の生存を脅かす大きな要因。
 杉野目さん(日本鳥類標識協会),海岸林は鳥たちにどう利用されていたか,津波前後での鳥類相の変化。被災前の海岸林は複数の階層からなる森林。2004年〜2010年,標識放鳥記録。1年間に40種程度,808羽に標識し,放鳥。アオジ,ウグイスは藪を好む取り。メジロは常緑樹を好む。ルリビタキ,シロハラ,クロジなど下層植生が発達した常緑樹を好む。こうした鳥類が確認されている。アオジは,標津,根室,釧路,帯広,サハリンから仙台平野海岸林にわたってきて,入間市やあきるの市の方へ移動することが確認されている。海岸林は渡りの際の中継地として利用されていた。津波後,カワラヒワ,カシラダカ,スズメ,ホオジロが多い,藪を好むアオジ,ウグイス,常緑樹林を好むメジロ等は減少。現在,林外・林縁種が林内で優占。アオジはほとんど見られず,渡り中継地としての質の低下がおこっている。階層構造も含めて海岸林の再生を。
 宮城さん(東北学院大),津波と海岸林の関係。インド洋津波とマングローブ林の津波減衰。2mを超える波高で死者が出始め,7mを超えると8割の死者。マングローブ林が残っていれば,波高を低減しかなりの方の生残につながったはず。東北では,破壊された森林からの流木が被害を拡大することもあった。地下水位の高い場所でのマツは弱く流されやすい。しっかりした地盤の上にマツを植えればマツ林による津波減衰効果は増す。復興の際には,盛土しつつマツ林再生をしたほうがよい。
 原さん(東京情報大)。なぜ今「生きもの」や「自然」なのか? 大震災=1000年に1度の大災害。CBD COP10後,始めての大災害。我が国の歴史の中で,我々の立ち位置が問われている。景観(ランドスケープ)という見方=都市計画,農村計画という立ち位置でなく景観計画という視点でつなぐ。Man-Nature/Culture (MNC) Systemとしての海岸エコトーン。ソース生息地とシンク生息地を見出し,生きものを育みながらの再生。人口減少社会にはいった日本で,どのような復興計画を考えるべきか。
 宮城さんからのコメント:MNC Systemとは,まさに「地域」のこと。その視点はとても重要。

<意見交換>
 ・外来種の増加には留意したほうがいい。
 ・塩分濃度と樹種の枯死,被害との関係は? 津波で物理的破壊は免れていても,塩分によって枯れているのもあるよう。サクラ類は強いようだ。
 ・森林再生方針は? →前線はマツを中心に,内陸側は広葉樹も入れる予定。詳細はこれから。 
 ・津波発生の時期が3月11日だったということが,昆虫の生残に関係しているのでは? →昆虫にとっては幸いだった。ハチ類は砂地の下10-15cmに巣をつくって冬を過ごす。津波では,表面はあまり動いていない。
 ・ライトトラップでは半分くらいは水田の虫。ベイトトラップでは,夏前はアリばかりで甲虫類は全くとれなかった。甲虫は盛夏以降。
 ・昆虫は浜側の植生の縁部が最も多く,林内にはいると減る。マイクロハビタットを意識する必要がある。
 ・今回の話の対象となった地域は,生物の保全上,どのくらい重要なのか。 →景観生態学会では重要なハビタットを地図化しWeb上で共有していくためのプラットフォームを構築しつつある。もうすぐ公開するので,その後,皆さんからの情報をアップしていけるようになる。
 ・鳥による種子散布 →標識捕獲の際に,捕獲した鳥を袋に入れておくと糞とともに種子が出てくる。その種子は,周辺の集落に植えられていた植物からのもののよう。被災後の種子の移入についての検討が必要。
 ・生態系上位種のフクロウが被災後の海岸林で発見された →フクロウが食べた鳥の骨は拾っている。林内の哺乳類についての調査が必要。
 ・森林公園の森林内は,庭木を供給源とする外来種だらけとなっている。地域計画の際には,庭木の植栽のあり方も含めてデザインが必要。

<平吹さんによるまとめ>
 ・「地域」と言っても中身は多様。モニタリングの結果を誰に受け取ってもらうか,どのように発信し,共有するかなど,考えて行かないと。持っている情報と,必要とされる情報のマッチングができたらいい。エコトーンはいろいろな生態系サービスを生み出す。海岸エコトーンを一つの社会基盤として,将来にどのように残していくのか。当初,壊滅と思われたエコトーンも再生しつつある。景観のモザイク構造によって残存した場がソースとなり再生を支える。

◆ 伊丹空港、これから仙台へ。平吹さんらの主催による、海岸エコトーンに関するフォーラム。
◆ 仙台行きの飛行機は、76人乗りの小型機。
◆ 仙台空港、到着。雪、0度。空港鉄道で仙台まで、各停で7駅。

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都市計画家 野沢 俊哉 53

投稿: 野沢 俊哉 | 2016年1月20日 (水) 08時33分

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