講義

2011年5月12日 (木)

講義―環境生態学

久々の授業。フロリダに視察に出かけた河口先生の代理。河口先生が赴任される前は僕が持っていた科目、「環境生態学」。今日のトピックは生活史の進化、なぜ性があるのか、性の進化的な意味について。
進化を読み解く楽しさ・深遠さを、土木を学ぶ学生に伝えたいと思いつつ、どうやって学生の興味を引き出すかいつも苦闘。教科書は日本生態学会編の「生態学入門」。進化という視点が根底に流れ続けていて、とても面白く、使いやすい。
生物学や生態学が専門ではない学科なので、ほんとにさわりの部分だけ。でも、進化という考え方に触れる機会があるか、ないかでは、土木技術に大きな違いをもたらすと信じて伝える。

◆ @att705: 土木工学と生態学を両方学べる、徳島大学工学部建設工学科。ここに入ってよかった。

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2010年12月15日 (水)

長期インターンシップ 企業内研修報告会

大学院のプログラムで実施している長期インターンシップ。日本の里山類型や竹林の分布拡大のリスク評価を行うためのモデル作成をしている宮本(M2)は、今年度、アジア航測にお世話になった。今日はその報告会を、新百合ヶ丘の本社ビルの会議室で開催させてもらった。
宮本は、ここで、環境省の植生図がどのような手続きを経て作成されているのか、その間の委員会の開催準備等を手伝いながら学ばせてもらった。また、自分の研究成果をどのように活かすことができるのかも、考えるチャンスをもらった。インターンシップによって得たものはとても大きいと思う。
引き受けてくださる企業の方たちには負担をかけることになるのだけれど、学生にはこうしたチャンスを活かして、スキルや、人間そのものを大きく伸ばしてもらえればと思う。
宮本のインターンシップをご担当いただいた染矢さん、浅井さんをはじめ、塚本さん、佐野さんには大変お世話になりました。どうもありがとうございました。

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◆ その後  環境省の植生図作成事業に伴って生産されるデータの利活用のあり方に関しての 情報交換。2月に成果を持ちよって、検討会を開く。

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2010年12月10日 (金)

修士1年の中間発表会

修士論文研究の中間発表会。修士1年全員がポスター発表。一人一人が5分ずつ概略説明した後に、教員がまわりつつ質疑応答。今年度から始まった取り組み。
この時期に中間発表を行い、進行状況やポスターの出来を他の学生と比べることで、各自が自分の位置がわかっていい感じがする。僕が参加する学会ではポスター発表は普通に行われていて、学生はポスターをつくりなれているけれど、土木学会などではポスター発表は行われておらず、ポスターを始めて作る学生も多い。それはまた、学生にとってはいい経験となるはず。

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2010年10月22日 (金)

環境生態学特論-実験室紹介

大学院講義,環境生態学特論.

受講者は生態学をベースとした研究をしている者ばかりでなく,建設材料(コンクリート)や都市計画の学生も.だから,生態学をみっちりやるというような授業はしない.学生それぞれに,自分のやっていることを紹介しあってもらい,情報を統合して,より広い視野から一つのプロジェクト提案書としてまとめるというもの.

その一環として,それぞれの研究室が持っている実験室の様子を紹介してもらう.自分の興味を,専門外の人にわかりやすく伝えるためのプレゼンテーション技術の向上が狙い.卒業後,実務家になったときはそういう機会が増えるだろうから.コンクリート実験室など,普段には立ち入ることがない場所に入れるので,僕も楽しめる.

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2010年6月13日 (日)

上勝 合宿研修 二日目

合宿研修,二日目.やはり雨.. 午後からは大雨になるという予報.. 予定の調査を簡略化して,お昼までに終えられるよう予定変更.

幻想的なブナ林.霧の中に浮かび上がるオンツツジの花.

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学生たちは元気に調査を続行.きっとほとんどの学生にとっては,二度と経験することのできない体験.今年も森づくりに情熱を傾ける田中さんに協力してもらった.

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事故もなく無事に終了.実習のマネジメントを手伝ってくれた三幣君と大西さんに感謝.そして,上勝の皆さんに感謝.

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2010年6月12日 (土)

上勝 合宿実習

地域環境マネジメント系,3年生を対象にした恒例の上勝合宿研修.4年目にして初めての晴れスタート.

<午前>

高丸山千年の森ふれあい館にて,原田さん(千年の森ふれあい館)から協働による森づくりについて,田上さん(山の楽校)から上勝が抱える課題について,森さん(徳島県西部総合県民局)からシカ被害について,説明を受ける.

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<午後>

森林保全,環境教育,景観の3つのグループに分かれて実習.僕は,森林保全を担当.3年生13人が参加.

千年の森づくりのモデルとしたブナ林での調査.昨年の実習で,シカ被害の実情を把握するために15m x 15mのシカ防護柵を3か所に設置した.今年は,シカ防護柵の内と外で糞粒調査と植生調査を行い,シカ密度を比較しながら,植生変化の違いを検討することが目標.

僕たちの研究室からは,三幣(M1)と大西(M1)をリーダとして9人が参加.三幣による作業確認の後,実習開始.三幣たちにとっては,リーダーシップの発揮の仕方を学ぶ場となる.

調査区を3m x 3mの小調査区に区切るためのロープ張りに手間どり,なかなか作業が進まないまま初日終了.

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<夜>

これも恒例となったバーベキュー.同じ学年の仲間がこれだけそろうことは,1年の合宿研修以来となるので,それぞれに交流を深められる.これだけでも価値がある.

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そして今年は,環境教育班が開発しようとしている地元の食材を使った環境教育プログラムの一環で作られたピザもふるまわれた.棚田でとれた米粉を練りこんだ生地.うまい.

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また,真田先生が準備したシカ肉カレー.昨年に引き続き定番となりつつある.これも感動的にうまい.

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そして,これまた恒例となった,希望者を対象とした夜のシカ観察.サーチライトで照らしながらシカを探す.ライトの光に反射して,闇に光るシカの目.森林を食い荒らすシカではあるが,歓声があがる瞬間.11時終了.

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2010年6月 9日 (水)

研究室紹介

3年生の研究室選択の材料にしてもらうための,研究室紹介.今週と来週の2回に分けて行われる.それぞれの研究室の持ち時間は12分.80名くらいの3年生と,20名くらいの2年生が参加.

それぞれの研究室の紹介を聞いた学生は,興味を持った研究室を訪問して情報を集め,エントリーシートを提出して,面接を受け,そして内定をもらうというしくみ.模擬就職活動のような状態を作り出し,将来の目標と重ねた上で自己アピールすることを学んでもらおうというのが,教員側の意図.

僕たちの研究室については,僕と源さん(M2)が紹介.11時30分からで,今日の最後.僕からは,研究プロジェクト,研究室で学べること,そして作り出したい人材について.そして,源さんからは,ゼミ旅行,田植え,その他のイベントについて.僕にとっては,今までやってきたことや,これからやろうとしていることをコンパクトにまとめるいい機会になる.

興味と熱意をもって訪ねてきてくれる学生がいたら,いいなぁ.

ちなみに,今日,紹介した研究内容は以下のようなもの.いずれも,成果が社会的な実装につながっていくようにしたいと思っている.

●里地里山(森-農地-居住地)の生態系管理と修復
 ○日本にはどのような里山や水辺があるのか
  ・生物分布情報と国土数値情報を活用した国土類型とリスク評価
  ・疲弊した森林の修復
  ・カーボンオフセットの枠組みを使った森林整備
  ・シカの食害から森林を守る
  ・拡大する竹林への対策
 ○代替湿地としての水田・用水
  ・生物の生活場としての機能評価と保全・再生
  ・トキ,ドジョウ,カワバタモロコ,水生・湿生植物
 ○誰が守るのか
  ・人的資源のネットワーク分析

●河川生態系の保全と修復
 ○おいしいアユを食べるために
  ・ダム等の構造物の影響

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2009年6月21日 (日)

地域環境マネジメント実習

20日-21日,学部3年生を対象にした実習。正式な科目名は「建設創造実験実習」だけど,僕の担当は地域環境マネジメントスタディーズに所属する40人ほどの学生を対象にしたもの。「千年の森づくり」の現場で,上勝町の方から直接話を聞き,地域が持つ課題を解決するために必要な技術を学ぶ。1泊2日の行程。1)森林保全,2)風景の発見と発信,3)環境教育プログラムの開発といった3つの課題から一つを選択し,3つのグループに分かれて課題をこなす。

その成果は,1月に開催される「千年の森セミナー」で学生が発表し,地域に還元する。また,開発された環境教育プログラムは,実際に使用されたりもする。

僕の課題には15人の学生が挑戦。伐採跡地での再生目標とするために2000年に調査した自然林を再調査するというもの。上勝ではシカの食害による林床植生の劣化が顕在化している。実習をとおしてモニタリングを行い,変化の様子を把握する。同時にシカの糞粒調査を行い,シカの個体密度を推定する。2007年から実施しているこれらの課題に加え,今年は,シカ防護柵(1区画は15m×15m)を3つ設置するという作業を行った。これにより,来年からの実習で,シカ防護柵の内外の比較から,シカが林床植生に与える影響をより明確に把握できるようになる。

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ほとんどの学生にとっては初めてのブナ林,山道を歩くのが初めての者も。そして,あいにくの雨。結構しんどいけれど,2日目の夕方に実習をやりとげた学生たちは,充実感を得ているよう。

夜はバーベキュー。「千年の森ふれあい館」と同じ敷地内にある廃校を利用した宿泊施設「森の楽校・旭の宿」の田上さんの好意により,肉は大盛り。学生がたいらげる。

そしてスパイスのきいたシカ肉カレー。「千年の森ふれあい館」の行事の一環として,真田先生と地域の方々の協働料理。絶品だった。

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そして希望者を募って,夜のシカ観察。暗闇に向かって照らすライトの光に浮かび上がるシカの目を探す。これも,シカの個体数を推定するための手法。シカを見つけた学生は興奮。

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実習のマネジメントは源典子(M1)。今年はシカ柵の設置とかの大仕事があったので,研究室から河口先生,武知(M2),竹村(M2),宮本(M1),三幣(B4),熱田(B4),大西(B4),青山(B4)が参加。そして,シカ柵の設置や毎木調査の指導は,地域の林家である田中さんご夫妻や,県職員の森さん・土井さんにお手伝いいただいた。

連絡調整は,真田先生,そして「千年の森ふれあい館」の勝瀬さん。

みなさんに感謝。

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2009年4月12日 (日)

新入生合宿研修

新入生の合宿研修(11日-12日)。今年は、吉野川流域の橋を見て回り、その技術にふれることがメインテーマ。僕は東京出張と重なって、初日の夕方からの参加。。

宿舎の池田の宿では、学生が班にわかれて、新聞紙を使った橋づくり。夕食を食べながら、それぞれの班が作った橋が、どれだけの荷重に耐えるかを競い合った。重りには缶ジュース。乗せられた数のジュースが景品。

それぞれに工夫した橋の競技は、楽しかった。学生も楽しそうで、共同作業を通じて、親睦も深まったよう。

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2日目(12日)は、まず、つり橋の原型、祖谷のかずら橋。祖谷に行くのは、僕も久しぶり。「ひきょういやおおはし」というのができていて、道がわからなかった。。 そして、祖谷の斜面に張り出す、巨大な駐車場。祖谷の集落を支える斜面の曲線とぶつかる柱の群れ。構造物が風景と風土を損なう典型。。。

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そしてつるぎ町の土釜橋(どがまばし)。昭和5年に建設されたそのアーチ橋は、土木学会によって土木遺産とされている。調査で祖谷に通っていた時にはいつも土釜を通っていたのだけれど、立ち寄ったのは初めて。河川水で浸食された渓谷は美しく、また土釜橋もとけこんでいた。結構、お勧めの場所かも。

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合宿研修の間、天候に恵まれ、暑いくらいの日差し。学生たちも楽しくすごせたのではないかと思う。僕も楽しかった。

今年の合宿研修は、クラス担任の橋本先生と渡辺先生による企画。どうも御苦労さまでした。

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2008年12月25日 (木)

集中講義-広島大学

23日~25日,広島大学大学院国際協力研究科にて集中講義。「応用生態系論 (Applied Ecosystem Science)」

中越さん広島大学大学院国際協力研究科 教授)からの依頼で,大学院向けの集中講義。受講生は留学生ばかりで,ベトナムから2人,タイから1人,バングラディッシュから1人。

準備したトピックスは,大きくは1)最貧国の森林劣化の過程と再生の考え方,2)日本での森林や草地の状態と再生の考え方,3)人為的に改変された河川での植生動態と管理,4)湿地・マングローブの保全・再生適地の抽出手法,5)河童伝承にもとづく人と水辺環境の関わりの類型(水辺風土の把握)。

今までやってきたことの集大成に近いものだから,結構楽しんでもらえたのではないかと思う。レポートが楽しみ。でも,英語での講義はたいへん。。

1. Process of Forest Decline in Malawi, Africa

2. Land Use in Viet Nam and Policy for Forest Restoration

3. Strategic Ways for Restoring “Natural Forest”

4. Strategic Study for Restoring Grassland in Rural Japan

5. Interaction between Vegetation Dynamics and Hydro-geomorphic Process in Altered River System

5-1. Changed river conditions and expansion of woody plant communities on bars

5-2. Change of ecological process in relation to alteration of habitat formation process

5-3. Effect of hydro-geomorphic process to vegetation  dynamics

5-4. Effect of plant-community development to hydro-geomorphic process

5-5. Ecological and Hydraulic Factors Influencing Expansion of Invasive Plant Species, Eragrostis curvula, at Bar in the Yoshino River, Shikoku, Japan

6. Quantifying Habitat Loss of Hygrophytes in Regional Scale as the Base for Nature restoration

7. Potential Habitat of Mangrove Forest at Coastal Area of Iriomote and Ishigaki Islands in Ryukyu Islands, Southern Japan

8. ‘Kappa’ Folklore as the Key to Analyze Regional Difference of Human Perceptionon Waterside Environments

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