委員会 等

2009年8月 6日 (木)

みなみから届ける環づくり会議 水質WG

8月3日の竹林WGに続いて,今日は水質WG。南部総合県民局 中会議室にて,13時~15時30分。

僕自身はこのWGには属していないのだけれど,今日は,ワークショップの手伝いで渡辺さんと共同でファシリテーション。いつものように,ポストイットに「やりたいこと」,「実現にあたっての課題」を書いてはってもらった。その項目を整理した上で,「優先順位」と「開始時期」の選択。

結果として,一つは,昨年の流域一斉水質調査の結果を使ったり,また,新たにプログラムを開発したりしながら,環境教育を実施していくことに。環境教育への取り組みについては,企業の方から積極的な提案があった。

もう一つは,モデル地域を策定して活動をしていくというもの。何か着実な成果を出したいという,みんなの強い想いのあらわれだろう。ただ,モデル地域で「なにをしていきたいのか」が不明確で共有されてないことも判明。これから,もう一つ採択された活動としての勉強会の中で,それをもんでいくことになるのだろう。

新しい展開の予感が得られたWS。楽しかった。そして,これからが楽しみ。

夜,大学に帰ってから,城山でアカテガニ調査。放仔の様子も観察するとができて,よかった。

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2009年8月 3日 (月)

みなみから届ける環づくり会議 竹林WG

みなみから届ける環づくり会議」で取り組むことになっている竹林管理。何をどのように実施していくのかを話し合うためのワーキンググループ会議。

南部総合県民局 中会議室,14時~16時。

参加者: 王子製紙/ 森岡,武田,  JA阿南/ 平田,

      南部県民局/ 土橋,犬伏, 徳島大/ 鎌田

      事務局/ 渡辺

オブザーバー: 徳島県農林水産部

内容

1.情報提供

 1)徳島県農林水産部から

 徳島県も竹林管理を行っていくための施策を,国の補助金などを使いながら実施することになったらしい。環づくり会議と一緒にできることがあればということで,WGにオブザーバーとして参加してもらった。まずは,徳島県からの情報提供。

 2)鎌田から

 竹林WGで取り組む内容を検討するためのたたき台ということで,2つの情報を提供。

 一つ目は,「竹林の健康診断」。NPO法人緑と水の連絡会議が主催して,竹林景観ネットワークが応援している,住民参加型の竹林調査について。地域住民が一緒に調査することで,竹林の現状を知ってもらうきっかけになれば,とのことから。今ひとつ,受けなかった。

 二つ目は,大分県竹田市で行われている「竹楽」の取り組み。ホームページによると,「竹は古来より建築材料や調度品、日用雑貨等に使用され、又、食用としても日本人になじみの深い存在でした。しかし近年、竹の需要は激減し、それに連れ竹林の荒廃も加速度的に進んでいます。竹田観光協会ではこの現状を改善し、併せて観光浮揚策の一環として、2000年より竹灯籠による町並みのライトアップを企画しました」とのこと。竹田市の人口は26000人程度で,78000人の阿南市と比べたら小規模な街。そこで,2万個の竹灯が作られ,街を照らす。竹とのかかわりを深める手段として,阿南市でもできないものか,とのことから。

2.ワークショップ

鎌田と渡辺さんの進行でワークショップ。いつものように,参加者にポストイットを配って,「やりたいこと」,「誰がやるか」,「課題」を書き出してもらった。壁に張り出されたポストイットのメモを見ながら,優先順位を決めた。

結果としては,1)竹材の集積システムをつくり,そこで必要に応じて材や枝・葉を選別できるようにすること,そして,2)竹灯の実施。

もう少しもめるかと思ってたのだけど,参加者はすごく積極的で,あっさりと決まった。 集積システムができたら,ほんとうにいいと思う。環づくり会議には,竹林農家さんとのつなぎ役としてJAさんがいる。そして,切り出された材をバイオマス燃料として利用可能な王子製紙さんがいる。つまり,竹材流通の入口と出口を担う人たちがいるということだ。環づくり会議で取り組もうと決められたことは,それをつないでいく流通システムをつくるということ。そのためには,竹林所有者さんをはじめ,地域の人たちに係わってもらわなければならない。地域の人に関わってもらうためのしかけとして,竹灯の実施が検討されていくことになるのかもしれない。楽しみだ。

ちなみに,僕が提案した竹林調査の優先順位は低く,却下された結果なのだけれど,まあ,これは大学で責任を持ってやっていこう。

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2009年5月13日 (水)

希少野生生物保護専門員会議

9時30分~12時,徳島県立博物館にて.

「徳島県希少野生生物の保護及び継承に関する条例」に基づいて定める,指定希少種等の選定。

僕自身は,ルイスハンミョウを指定希少種に加えるべきだと思っている。県は,道路建設にともなって消失するルイスハンミョウ生息地の代替地として,人工海浜を造成している。それは,県がルイスハンミョウが貴重であることを認めた結果だ。県は,最大限の努力をして,この事業を進めていて,それは比較的うまくいっているように見える。これだけのことをやってきているのだから,これから他のルイスハンミョウがいる場所で何らかの公共工事を行う場合でも,きっと,細心の注意を払ってくれると思う。

徳島のルイスハンミョウにとっての大きな脅威は,それを採集していく人たちがいるらしいということだ。ルイスハンミョウのために代替地を用意しても,それが採集されてしまう結果に終わるのは,あまりにも悲しい。そうした行為に対しての抑止力として,この条例を使うべきだ。それに踏み切れないでいる状態に,ずっともどかしさと情けなさを感じ続けている。

一言付け加えると,僕は,昆虫採集という行為は,決して悪いものではないと思っている。それは,生きものの多様性を知り,また,生きものの命に触れられる行為だからだ。それをとおして学ぶことはとても大きい。けれども,その希少性を認識している者が,その価値の高さゆえに採取し,場合よっては売買してしまうことは,あまりにも悲しい。

もう一言。そもそも,ルイスハンミョウの生息地が奪われたのは,やはり埋め立てや護岸によるのだろう。

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2009年4月15日 (水)

船窪のオンツツジ群落保護検討委員会

吉野川市の高越山の山頂付近に国指定天然記念物となっている「船窪のオンツツジ群落」がある。吉野川市の有志の方々が集まって、そのオンツツジを守ろうと、枯枝の除去や苗木の移植などの活動を続けている。けれども、その保護方針が明確でないということ指摘を文化庁から受け、保護管理計画を策定することになった。今日はその1回目の委員会。僕が委員長を務める。今日は、午前中に現地視察した後、午後から会議。

保護管理計画を策定するためには、次のようなことを明らかにしておかなければならない。

1)オンツツジ群落の変化。オンツツジ群落が変化し、修復が必要と言われているけれど、どのように変化してきているのかを共有するための情報が少ない。町内等で、過去のオンツツジ群落の写真を持っている方を探して、写真を収集し、今と比較してみることが必要だろう。

2)オンツツジ群落の成立と維持要因。そもそも二次林の林内で生育するようなオンツツジの純群落がなぜできたのか、また、それがどのように維持されてきたのかがわかっていない。オンツツジ群落が成立しているところは、かつては地域の人に草地として利用され、刈り取りが続けられてきたとの話しがある。その際、オンツツジを選択的に残していたとも言う。たぶんこれは本当なのだと思うが、そうであれば「天然」ではなく、「人為的」に維持されてきたことになる。

3)オンツツジの更新過程。オンツツジの実生はどのようなところで成長可能なのかがわかっていない。原則的には、群落の自立的な更新を手助けするような管理が望ましい。たぶん明るい光が必要なのだろうけど、メカニズムを含め、わかっていない。

4)天然記念物として指定されているオンツツジ群落内には、数種の絶滅危惧植物も生育している。それらもあわせて保護していける枠組みが必要。そのためには、絶滅危惧植物の分布や生育条件について把握し、オンツツジの管理手法とあわせて検討しなければならない。

4)管理は地域の方々にゆだねられることになるだろう。今、とても熱心に活動している方たちを核にしながら、広がりをもたせていかなければならないだろう。活動を支えている人々のオンツツジへの想い、また、町の人たちの想いを、ヒアリングしてみる必要がある。

これから、これらのことを源さん(修士1年)が調査し、委員会に資料をあげつつ、合意形成を図っていく。

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 ↑ ピンク色の範囲がオンツツジ群落。周辺はスギ植林地。

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 ↑ 林床にカタクリの花

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 ↑ 地域の人に育てられている実生。

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2009年3月28日 (土)

長野大 教育GP 「森の生態系サービスの活用を学ぶ環境教育」

文部科学省「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)」選定プログラム

「森の生態系サービスの活用を学ぶ環境教育」第一回評価委員会

日時: 平成21年3月28日(土) 13:00~15:00

場所: 長野大学 4号館 304号室
評価委員会出席者(外部評価委員:13名、内部評価委員8名)

外部評価委員(五十音順、敬称略):石井孝二、井田秀行、伊東正人、加々美貴代、川上美保子、鎌田磨人、桑田慎也、小林一郎、庄司昌彦、前河正昭、宮地優、村山隆、吉田哲也
内部評価委員 :奥村博造、佐藤哲、高橋一秋、高橋大輔、谷田林士、外崎健、端田篤人、三上光一

長野大学の構内にある里山を使って、里山づくりを実践したり、コーディネートできる人材を育成していこうとする面白い取り組み。昨年のJSTの研究プロジェクトのフィールド研究会で長野大を訪れた時に、里山の中でのビオトープ池づくりに立ち会わせてもらった。

長野大の里山はさらにグレードアップしていて、電源をはりめぐされた里山には無線LANの接続ポイント、webカメラ、気象測定ロガー。森の中からリアルタイムで情報を収集し、発信していこうとしている。なんともすごい。。 これをどう操っていくのか、楽しみ。

委員会では、広島大学の根平・中越研究室で一緒だった、後輩の井田さん(信州大)と前河さん(長野県環境保全研究所)と再開。みんな、こういう現場で活躍しているようで、頼もしい。

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委員会の前には、蕎麦で腹ごしらえ。やっぱ、うまい。

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2009年1月26日 (月)

東環状環境アドバイザー会議

15:00~17:30,徳島大学にて.

県から本年度のモニタリング調査と解析の結果報告.でも,どういう方針でまとめたいのか不明.GISでのデータ解析ができるような調査設計になっているにもかかわらず,うまく処理していなくて,ただ絵がならんでいる.

河床変動とベントスの分布との対応関係を見るためのモデルは,いくつかあり得ると思うけど,全然試してこないし, 僕たちのアドバイスの仕方が悪いのか... 「暖簾に腕押し」状態が続く.. 

卒論,修論のまとめを目前にしたこの忙しい時期に,不毛な議論が続くことにはさすがにうんざりして,差し戻しさせてもらった.今度,技術者を派遣してもらって,直接指導することに.なんだかなあ..

会議の隙間をぬって,卒論のまとめに向かう学生との議論が最近の楽しみ.

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2009年1月21日 (水)

みなみから届ける環づくり会議 幹事会

みなみから届ける環づくり会議幹事会、13時30分~17時、阿南高専にて。

今年度の活動を振り返り、今年のシンポジウムの内容について、そして、次年度からどのように展開していくかが主な議題。

澤田さんの進行によるワークショップ。

今までの活動を振り返る中で、「環づくり会議への参加者の中で一体感が生まれた」というような感想が、何人かの方から述べられた。なんか、うれしい。

シンポジウムをとおして、これからの環づくり会議の活動を一般の方とどのように結び付けていくか、そして、地域の環境課題の解決に向けた活動にどのように連携・展開していくかを考えていくことになった。

ちなみに、今年の活動報告とこれからの活動を考えるための「第2回 みなみから届ける環づくり会議シンポジウム」は、

3月1日(日) 13時00分~16時20分 阿南市文化会館(夢ホール) 視聴覚室 にて

シンポの案内チラシのダウンロードは → 「2nd_sympo.pdf」

ちなみに、1月24日(土)に行われた、第2回流域水質一斉調査の様子は、研究室のブログで紹介されてますので、ご覧ください。

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2009年1月13日 (火)

みなみから届ける環づくり会議 HP開設!

このブログでもたびたび紹介している「みなみから届ける環づくり会議」のホームページ(β版)が開設されました.

ぜひ,お訪ねください.

こちら → 「みなみから届ける環づくり会議」のホームページ

このホームページは,インターンシップで環づくり会議の事務局を手伝っていただいている竹村くんが作ってくれました.ありがとうございます.

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2009年1月 9日 (金)

第2回 県南域流域水質一斉調査のご案内

     川の水のこと,みんなで調べよう!

        阿南市・那賀郡・海部郡一斉水質調査

1月24日(土)に,「みなみから届ける環づくり会議」による県南域の流域水質一斉調査が行われます。この調査に参加していただける方,募集中です!

少し寒いかもしれませんが,田んぼに水がはられておらず用水に水が少ない冬の期間は,夏に調査した同じところでも水質は悪くなっているかもしれません。身近な環境がきれいなのか,汚れているのか,みんなで調べてみて,これからのことを考えてみませんか?

調査の結果は,Webで一覧できるようにする予定です。

夏(2008年8月4日)の結果(試行版)は,こちらで閲覧できます。

  ★☆ 2008/8/4 徳島県南部域水質一斉調査結果 ☆★

夏の調査結果と申込用紙(pdf版)は,こちらからダウンロード。

  ★☆ 「第1回(夏)調査結果&第2回申込用紙.pdf」  ☆★

問合せ・参加申込先:

徳島県南部総合県民局環境担当

0884-28-9858

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2008年12月15日 (月)

自然環境概況調査 作業検討部会

環境省 自然環境保全基礎調査 自然環境概況調査 第1回作業検討部会,13:30~16:00,渋谷にて。JSTの領域全体会議を昼までで抜けさせてもらって参加。かなりキツキツのスケジュール。。

この作業部会では環境省の植生図づくりが進んでいない中で,衛星等を用いて迅速に国土の自然概況を把握するための手法を検討している。

MODISALOSといった衛星や,気球を用いた撮影によって得られる画像を用いて,植生判読がどの程度できるのかといったことが紹介された。これらは,異なった空間解像度を持っていている(例えばMODISの場合は500m,ALOSでは10m,気球では数10cm)。そのため,これらによって得られる情報の“詳細さ”はそれぞれに異なっている。重要なのは,それぞれの特性を活かして,迅速に国土の状況を把握するためのスクリーニング&モニタリングシステムを組み上げるかということだ。そのためには,明確なアウトプットイメージをもとに,国土を空間階層に基づいて類型化するための手法が提案されなければならない。このことは,検討会でずっと進言し続けてきていることなのだけれど,残念ながら目標とするモニタリングイメージは示されていない。

今回は,具体的なモニタリングのイメージづくりに役立ててもらおうと,僕たちの研究室で竹村(M1)と宮本(B4)が進めている土地利用細分メッシュを用いた国土類型手法について話をする時間をつくってもらい,100mの空間解像度でどのようなモニタリングができるのかを紹介した。この仕事は,里地里山SGAでの,里山のマルチスケール類型手法を提案しようとしているものでもある。

<プログラム>

1.リモートセンシングデータを活用した自然環境概況調査

 (1) ALOS データによる森林・非森林区分手法の検討

 (2) 湿地植生分類図の精度検証

 (3) 高解像度衛星データによる竹林分布把握検討

2.全国植生概況(相観植生)把握調査

 (1) 全国植生概況図作成

 (2) 中空間分解能衛星データによる利用検証

3.無人飛行船等による低高度空中写真の利用について

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2008年12月11日 (木)

Next Step

「みなみから届ける環づくり会議」,次回の幹事会に向けての打合せ。9時30分~12時,研究室にて。

南部総合県民局(事務局)の古川さん,小西さん,遠原さん,副議長の澤田さん(環境とまちづくり),大田さん(阿南高専),交通渋滞社会実験WG長の加藤さん(阿南高専),そしてインターンシップの竹村くん(徳島大M1)。

去年から今年にかけて,交通渋滞緩和社会実験,水質一斉調査と,2つの大きなプロジェクトが動いた。目前のプロジェクトを成功させるために,それぞれのWGは一生懸命だった。これらの取り組みは社会的実現を図っていくための手段であるということの再認識。次はその活動の評価,そして次の目標を設定することが必要。地域社会との結びつきの模索。そのための新たなワークショップの開催。

そして,継続性を担保するための事務局のあり方。異動が前提となる県の方々のみに事務局をまかせ続ける限り,継続性は担保できない。新たな枠組みづくりをするための“しかけ”と“資金”の必要性。ワークショップでの課題の一つ。

次のステップに向けて,奮起の時。

8月に実施した流域水質一斉調査の結果と,次回の一斉調査(2009年1月24日 土曜日)の呼びかけを,新聞への折り込みチラシにして南部域の全世帯に配布予定。皆さん,ぜひ参加してください。

水質マップは僕たちの研究室の竹村,梅平が中心となって作成。監修は橋本さん(阿南高専)。

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2008年12月 9日 (火)

旭川 植生管理方針

岡山県の旭川で進められている植生管理の報告。10時30分~11時30分,研究室にて。

11月25日に検討会があったのだけれど,僕が出席できなかったので,岡山河川事務所の児子さんと眞田さんがわざわざ説明にきてくれた。

シナダレスズメガヤが繁茂するようになった砂州で礫河原を再生しようとする試み。砂州上で繁茂して砂州を固定化しているヤナギ等を伐採して,本来の洪水営力を利用して砂州表面を動かし,シナダレスズメガヤが侵入しにくい砂州を作ろうとしている。今年は出水がなく,シナダレスズメガヤの再繁茂が著しいらしい。もともと出水規模が小さい川なので,なかなか簡単にはいかない。

この川づくりを始めるにあたっては,まず数値シミュレーションを行って結果を予測し,そして実行し,その後,ずっとモニタリングを続けている。確かな年数は忘れてしまったけれど,もう6年くらい続けていると思う。これはいわゆる自然再生事業として実施しているのではなく,通常の河川管理業務として行われている。全国に誇れる事業だと思う。僕たち検討委員の進言によって,今までの成果をとりまとめて出版する予定だという。楽しみだ。

ちなみに,徳島の吉野川でも同じようなことが検討されている。旭川で試されているアイディアは,僕たちが吉野川で検討してきたことが,かなり取り入れられている。

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2008年12月 4日 (木)

環境省 植生図づくり 凡例検討部会・技術手法検討部会

東京国際フォーラム(有楽町)にて,13:30~16:00。

環境省が進めている植生図づくり。9年にわたって続けられているが,現在の整備率は国土の40%程度でしかなく,遅々として進んでいない。人工衛星やGISを使って効率的に作成していくための手法を検討しているのが「技術手法検討部会」で,景観生態学会のメンバーが構成員。一方,現地調査で集まってくる情報から,植物社会学的手法で植生図凡例を決めていくのが「凡例検討部会」で植生学会のメンバーが構成員。

人工衛星やGISを使う場合,土地被覆の状態から植生分布を大まかに決めた上で細区分の手法を考え,それぞれで抽出された空間単位について相観的凡例を与えていくトップダウン的な考え方となるのに対し,植物社会学的凡例を与えるのは,現地調査に基づくボトムアップ的な考え方となる。

人工衛星等の画像データからは,対象が二次林かどうかは判断できないので,そのような判例は与えられない。スギやヒノキの植林についてもそうだ。一方,現地調査では二次林かどうか,すなわち,土地利用の履歴をその場で判断しつつ凡例を与えていく。そのため,「技術手法検討部会」から提案する植生図作成方法が,「凡例検討部会」での検討になじむのかどうか不安があった。今まで個別に検討してきたのだけれど,それでは互いの考え方が理解できず効率的でないということで,合同部会が開催された。

開催までの間,事務局は,互いがどのような議論をし着地点を見いだすことができるのか,特に僕が何を口走るのかとても不安だったらしい。でも,実際に始まってみると,大きな齟齬が生じることもなく軟着陸。両方の考え方には,それぞれ空間階層性を含んでいるので,要はそれをいかにすり合わせるかということだからだ。

案ずるより生むが易し。一つの場で顔をつきあわせながら意見を出し合うこと,それが始まりだ。もちろん,互いの考え方を尊重しあうことが前提。

ちなみに,僕も植物社会学を少しはかじっているので,「凡例検討部会」の現場を大事にする考え方や,実際にそうしてきた部会メンバーの方々の努力と熱意はわかっているつもりだし,とても尊敬している。

合同部会後は,凡例検討部会の座長を務めておられる星野さん(東京農工大)や,「技術手法検討部会」の座長を務めておられる原さん(東京情報大)らと懇談。星野さんとは話がつきず,盛り上がり続けた。

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2008年12月 2日 (火)

かみかつ里山倶楽部WG

千年の森の指定管理者である「かみかつ里山倶楽部」のワーキング会議。19時~21時,上勝千年の森ふれあい館にて。

JSTプロジェクトである「地域主導型科学者コミュニティの創生」に,里山倶楽部の澤田さんと勝瀬さんがステークホルダーとして参加していること,そして,長野での研究会について紹介。また,来年度の上勝での研究会開催を依頼。快諾を得る。というか,皆,楽しみのよう。

そして,1月25日(日)に開催予定の「千年の森セミナー」について打ち合わせ。徳島大学工学部建設工学科が,千年の森で実施した「地域環境マネジメント実習」の成果を,学生に発表してもらう時間をもらう。当初予定よりも少しだけ長い時間を使えるよう,取り計らってくれた。ありがたい。

また,このセミナーには「地域主導型科学者コミュニティの創生」研究会のメンバーの何人かが参加予定であることを紹介した。セミナー前日に上勝を紹介するエクスカーションの実施についても相談。澤田さんも勝瀬さんも時間を作って,案内してくれることになった。

かみかつ里山倶楽部は来年度からも指定管理者として選定され,次の3年間も森づくりを担う。第二ステージに向けての活動方針が練られている。

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2008年11月 5日 (水)

みなみから届ける環づくり会議 一斉水質調査WG & 交通渋滞WG

9時30分~12時,南部総合県民局保健福祉環境部にて.

「みなみから届ける環づくり会議」で進めてきた“流域水質一斉調査”と“交通渋滞解消社会実験”についての合同ワーキング会議.

ワーキングに先立って,環づくり会議のホームページ原案について,僕たちの研究室の竹村(M1)から説明.竹村は,大学院の教育プログラムである“長期インターンシップ”で環づくり会議事務局運営を手伝っている.懸案のホームページ作成が,竹村に託された.

HPの基本的な構成はOKということで,環づくり会議で取り組んでいる5つの課題のワーキンググループ長に,それぞれの方針等を紹介する文章の作成を依頼.どこにサーバを置くかという課題が残っているが,今月中には立ちあげられたらと思う.

その後,それぞれのWGから進捗状況について情報共有と個別WG.流域水質一斉調査については,以前に報告した内容について共有を図り,1月24日に第2回の一斉調査を実施することと,それに向けての体制が決められた.今回から,農水省那賀川農地防災事業所と国土交通省那賀川河川事務所がオブザーバーとして参加してくれて,次回の調査に協力してくれることになった.

交通渋滞解消社会実験は,出勤の交通手段のダウンサイジングと公共交通機関への移行可能性を検討するための社会実験が行われた.出勤時間にあわせて徳島バスに循環してもらい,利便性とバスの定期運行について検証された.ただ,社会実験の実施日に台風が来襲したため,思惑どおりにには進まなかったとのこと.残念ではあるが,でも,一歩前進.今後,実験の詳細な解析と,来年の9月の再実験に向けてアンケート調査がおこわなれる.また,次のステップとして,地域通貨の導入等も含め,公共交通機関への移行とあわせた街づくりのあり方についても検討していくとのこと.楽しみ.

こうした活動の結果は,以前と同様に3月頃にシンポジウムを開催して,広く伝えていく予定.

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2008年10月29日 (水)

とくしま川づくり委員会

◆ とくしま川づくり委員会,13時30分~15時30分,徳島県庁にて.

この委員会にもずいぶん長い間かかわっている.今日は2つの河川の基本方針(案)について.それぞれの河川の個性をどのようにとらえ川づくりに活かしていくか,紋切型思考からの脱却をと思いつつ出席しているのだけど...

河川法の改正にともなって,治水・利水に加えて,環境保全計画が盛り込まれていいのだけれど,やっぱり「環境の保全に“努める”」ということになる.方針や計画に盛り込めるほどの自然環境データが蓄積されていないということのほかに,保全目標の設定方法も確立されていないことにも一因がある.それは,僕たち研究者の責任でもある.. がんばらなければ.

◆ ゼミ,18時30分~21時

宮本(4年)と田村(4年)が,卒論の内容を発表.

◆ 竹林の拡大可能域推定に向けた研究の打合せ,21時~22時30分

竹林の拡大が顕著な阿南市を対象に,それがどこまで広がり続けるのかを推定するための研究を,卒論生の松永が取り組もうとしている.1975年頃と2000年頃の空中写真から2年代の分布域を比較することをとおして,竹林が拡大した範囲の地形因子を明らかにする.阿南高専でも竹林分布を把握しようとしているので,それを担当する遠野さんに協力してもらうことに.これからの進め方について,3人で打ち合わせ.

ちょっとタイトなスケジュールだけど,なんとかなるだろう.この結果は,みなみから届ける環づくり会議で取り組もうとしている竹林管理に向けてのワーキングに提供していく.

ちなみに,遠野さんは,僕のところの博士前期課程に社会人学生として在籍して,修士号をとった.修了後も,こうやって一緒に仕事をできることはうれしく,楽しい. 

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2008年10月15日 (水)

徳島県環境審議会

環境審議会,13:30~15:30,徳島県庁にて.

僕自身がこの審議会にかかわるようになってどのくらいになるのか,はっきりとは思いだせない.これまでの間,度合いは様々だけど,「徳島県環境基本計画」,「徳島県生活環境保全条例」,「徳島県環境学習推進方針(とくしま環境 学びプラン)」,「徳島県希少野生生物の保護及び継承に関する条例」,「とくしま地球温暖化対策推進条例」等の策定にかかわった.その過程は,僕にとってはとても大きな経験だった.特に,前副会長・環境政策部会長であった藤岡さんからは,審議会の進め方等,いろんなことを学ばせてもらった.

今日は新しい体制での顔合わせ.昨年までの三好会長と藤岡副会長が退任され,近藤先生(徳島大)が会長に就任された.僕は,鳥獣部会長と自然環境部会委員を引き続きやっていくことになった.

鳥獣部会は,鳥獣保護区の地域設定や,シカやイノシシの管理方針を審議するところなのだけれど,それを審議するにあたっての科学的根拠の乏しさを感じ続けている.その不満が,今,僕たちの研究室の武知くん(M1),森林林業研究所の森さん,総合科学部の山城さんとで取り組んでいる「ニホンジカ個体数の広域的・効率的管理に向けた施策支援システムの構築」という研究を始めるきっかけとなっている.これからの期間で,研究成果を施策に活かしていければいいのだけれど..

僕のとなりには,千年の森をマネージメントしている勝瀬さんが座っていた.公募によるメンバーとのこと.きっと,森づくり・地域づくりの現場感覚を審議の場にふきこんでくれることだろう.楽しみ.

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 ↑ 審議会が始まる直前の様子(間近での飯泉知事に感激した勝瀬さん撮影).

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2008年10月10日 (金)

オヤニラミ そして カーボンオフセット

◆ オヤニラミの潜在的生息域を明らかにするための研究打合せ.10時~11時45分,徳島県立博物館にて.

徳島県では県南のいくつかの流域にしか生息していないオヤニラミ.絶滅危惧種になっている.かつて岡川にもいたらしいけれど,今はもういない.そのオヤニラミが本来どのような場所で生息していたのかを推定するための研究を,学生が始めようとしている.

みなみから届ける環づくり会議で取り組まれている水質一斉調査によって身近な河川や用水の状態が見えてくる.オヤニラミという指標生物をとおして,これからどのような水辺を取り戻していけばいいのかを考えるための資料を提供していくことが目的.環づくり会議のメンバーである日亜化学は,オヤニラミを絶滅から救おうと飼育にとりくんでいる.県南にはそのようなグループがいくつかあって,皆,それぞれにオヤニラミを守ろうとしている.そのようにして保護増殖されたオヤニラミをどこであれば川に戻してやることができるのか,また,どのような水辺を取り戻せばオヤニラミが暮らしていける川になるのかを考えることができるようになるだろう.そのための試行錯誤が始まる.

◆ 第3回カーボンオフセット推進検討会.13時~16時30分,徳島大学にて.

前回に引き続いて,環境省が示しているカーボンオフセットの枠組みについての検討,新潟県の佐渡島で行われいてるカーボンオフセットの取り組みについての紹介,そして,今から僕たちが何をやればいいのかについての話し合い.

カーボンオフセットとは,「市民,企業,NPO/NGO,自治体,政府等の社会の構成員が,1)自らの温室効果ガスの排出量を認識し,2)主体的にこれを削減する努力を行うとともに,3)削減が困難な部分の排出量について,他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量(クレジット)を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により,4)その排出量の全部又は一部を埋め合わせること」.まずは,自分のところで努力することが必要,かつ重要.

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 ↑ カーボンオフセットとは(正本さんが作成した資料から).

トキの放鳥を目的とした自然再生事業が進められている新潟県佐渡島では,トキの営巣に必要な森林を整備するために必要な資金を,カーボンオフセットの枠組みを使って生み出そうとしているようだ.言い換えれば,炭素固定という機能のみならず,森林が持つ様々な機能を回復させるための手段としてカーボンオフセットが利用されている.トキという環境アイコンを使った動き.

さて,徳島では何ができるか,何をしなければならないか.

阿波踊りを利用したカーボンオフセットというアイディアが出された.実現できたらいいなあ.阿波踊りという観光アイコン.トキとは対照的.トキは炭素を固定させる森林側の象徴,阿波踊りは炭素を放出する側の象徴.阿波踊りのエネルギーを,徳島の森林再生に利用していくための枠組みはどのようなものか.そんなことを,みなで考えられたら楽しいかも.これからもう少しアイディアを持ち寄って個々の参加者が何をできるのか,それを明確にして役割分担を決めることが次のステップ.

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 ↑ 澤田さんの進行によるワークショップ

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 ↑ これからの流れ(私案)

◆ 地域環境マネジメント演習,およびプロジェクト演習の打合せ.僕のところでの取り組みを希望する2・3年生と.16時30分~18時,研究室にて

今日の3つめのミーティング.これからの半期を使って演習で取り組んでみたい課題について,学生たちと打ち合わせ.GISでの解析に必要な基本的な事項を,希望者が主体的に取り組んでいけるリアリティのある現実的課題.M1の学生にマネジメントを手伝ってもらいつつ,少しハードルの高い課題に取り組んでみることに.得られるものも大きいはず.これからそれぞれの学生がどのように取り組み,何を発見するのかが楽しみだ.

皆に期待しています!

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2008年10月 7日 (火)

みなみから届ける環づくり会議 流域一斉水質調査WG

みなみから届ける環づくり会議の流域一斉水質調査マネジメントグループによるワーキング会議.15時~16時30分.8月4日に実施した一斉調査での課題抽出と,冬に予定している2回目の調査に向けての今後の方針について.

阿南,徳島県南部総合県民局にて.橋本さん(阿南高専),南部総合県民局,阿南市,那賀町,日亜化学,王子製紙,大塚製薬ワジキ工場,日本電工の担当者の方々が参加.

企業にはパックテストの精度を補完するための機器分析と,一般参加のサンプル測定を補助するための窓口を事業所内に開設してもらっていた.機器分析についてはそれほど問題はないようだったけど,一般の人を対象にした窓口業務にはとまどったよう.窓口を訪ねてきた人数がそれほど多くなかったから何とかなったものの,もう少し多くなったときには対応が間に合わないとのこと.この課題は学生アルバイトで解決できそう.

窓口業務も受け持とうとしたのは,地域に開かれた企業・事業所のあり方を考えるきっかけにしたいという考えもあってのこと,とのこと.訪ねてきてくれた子供が真剣に取り組む姿や笑顔を見られたことは,担当してくださった企業の方にとっても楽しかったよう.親が子供にやたらにうるさい家族とか,そんな様子を笑顔で話す担当者の表情も印象的だった.

337地点で同時におこなわれた水質調査の結果は,学生たちがGISに入力してくれた.その地図を皆でみながら,当初の目的を再確認した.調査をすることが目的ではなく,それを気づきの手段として使っていくこと.今回の調査結果をこれからどのように活かし,地域の方に身近な水環境の状態に気づいてもらえるようにするか,それをそれぞれに考え提案しあっていこう,ということが話された.企業にとっても価値ある成果にしていくための方法もあわせて考えていこうということも確認された.これから次のステップへ.どんな動きが創りだされるのか,楽しみだ.

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 ↑ パックテストによる調査風景(8月4日)

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 ↑ 南部総合県民局の窓口に持ってきて測定する家族(8月4日)

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 ↑ GISで土地利用図の上に表示された水質(COD)データ

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2008年9月30日 (火)

環境省 植生図づくり

環境省が自然環境保全基礎調査として進めている植生図作成についての中四国ブロック会議.13時30分~16時30分,岡山市にて.

日本では1/50000のスケールの植生図が国土全域にわたって作られている.1980年代に環境庁によって推進された事業.何回かの小さな見直し過程を経て,今,完全な作り直し作業が進められている.今回は1/25000のスケール.ブロック会議では,それぞれの地域で行われる調査手法や,その調査で確認される植物群落に対してどのような名前(凡例)を与えるかを検討する.個々のブロックでの検討結果は,「凡例検討部会」で日本全体での整合性が検討され,植生図に反映される.

中四国ブロックには座長の波田先生(岡山理科大学学長)や,清水先生(もと鳥取大),豊原先生(もと広島大),石橋先生(もと広島大)をはじめとして,石川先生(高知大),末廣先生(香川大),松井先生(松山東雲短大),西本先生(岡山県自然保護センター)といった植生学のスペシャリストが集まっている.僕はそのような場に加えてもらえていることに恐縮しつつ参加している.

それぞれの地域をくまなく歩き,現場を見続けてきた先生方のリアリティのある話は,とても面白い.そして,群落の分布を決定づける環境要因がどのようなものであるのか,その経験に基づく群落(あるいは群集)の区分に係る見解はとても勉強になり,刺激的だ.

植物社会学的調査に基づいて作られる植生図は,現場で直観的・経験的に把握される諸々の環境要因と,そこに生育する植物との関係が総体として把握され,表現されている.少し前までは環境因子を面的に把握し表現することが難しかったので,植物群落の分布境界は「えいっ」と描かれてきた.けれども今はGISの発達や空間情報の整備によって,環境要因を面的に表現することが可能になってきている.そのため,環境要因とそこに成立する植物群落との対応関係がきちんと整理され把握されれば,群落の境界を今まで以上に科学的に(つまり検証可能な形で)描くことができるようになるはずだ.そのような技術は,僕たちの研究室で蓄積されてきている.

僕は先生方が現場での経験から把握してきた環境要因と植物群落の分布との対応に関する話を聞きながら,植物群落の分布を決定づける鍵となる環境因子をどのようにして切り出し,どのような方法で地図に表現したらいいのだろう,なんてことを考え続けていた.そんなとき,植生調査業務を行っている若手技術者から,同様のアイディアでの植生図作成を,今回の業務の中で試してみたいということが提案された.結果が出るのがとても楽しみだ.

ちなみに,今回の植生図作成は9年にわたって続けられているが,現在の整備率は国土の40%弱にすぎない.このままでは,国土全体の植生図が完成するまで,まだ10年以上かかることになる.そのため,もっと効率的に植生図を作成するための方法や,作成される植生図の利活用のあり方についての検討が「技術手法検討部会」で行われている.GISを駆使した研究を行っている原さん(東京情報大/景観生態学会副会長)が座長で,5人のメンバーのほとんどは景観生態学会の中核を担っている方々.この検討部会で,僕は植生図作成の過程をもっと体系化して国土モニタリング手法として構築すべきだと主張してきていて,そのアイディアは今年度からワーキンググループでもんでいくことになっている.

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2008年9月29日 (月)

絶滅危惧種の保護

希少野生生物保護専門員会議.10時~12時,徳島県立博物館にて.

「希少野生生物保護専門員」というのは,「徳島県希少野生生物の保護及び継承に関する条例」の中で定められていて,希少野生生物の保護に関する啓発、調査、助言等を行うことになっている.個々人が任命されるので,いわゆる委員会のような会議体ではない.だから会議など開く必要はないのだけれど,指定希少種の選定に係る助言,その保護管理の在り方に係る助言等を行いつつ,専門員間での情報交換および合意形成を図っていくために,県の呼びかけに応じて集まっている.僕もその一員で,便宜的な座長役も引き受けている.

徳島の場合,大学等で研究を本職として生き物に関わっている人はとても少なく,専門員の半分くらいは,仕事の傍らで徳島の生物について調査を続けてこられた方々.そのぶん,自然保護への想いの人一倍強く,自然保護の施策を前進させるためには労をおしまず,休みも返上して協力してくれる.それだけに,県の担当者が職責を果たそうとしなかったときはもちろん,無駄と思える事業を提案してきたり,「やっていくべきこと」について議論したいときに「できない理由」の羅列がはじまると手厳しい.今日はその手厳しさが全面に出てしまった会議だった.

「野生生物を守る」,すなわち「人々が生態系サービスを享受し続けられるよう,多様性に満ちた健全な生態系を維持する」ということは,行政にも専門員にも共通の目標であるはずだ.協力しあえる体制をつくっていかないとならないのだけれど,その隙間を埋められないのは,その目標が共有されてないからなのだろうか.今日はくたびれた..

ちなみに,徳島の条例の特徴・先進性は,指定希少野生生物(保護が義務付けられ違反に対して罰則規定が適用される種)や,保護区の指定申請を県民のだれでもができる枠組みを持つこと.保護区は指定希少野生生物が生息・生育している場所のほか,5種以上のRDB種が生息・生育している場についても,面積にかかわらず指定することができる.後者のいわゆるホットスポット型の保護区指定ができるのも,全国でもめずらしい.

大学に帰ってから,17時までの間に2つの会議.押し寄せてくる仕事..

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2008年9月 5日 (金)

カーボン・オフセット

とくしま環境県民会議」では,環境省の「低炭素地域づくり面的対策推進事業」の補助を受け,県民会議に参加している組織が互いに連携して,低炭素地域づくりに向けた社会実験に取り組もうとしている.補助金を使って取り組むのは1)徳島市をモデルとした自然再生型カーボンオフセットの可能性についての調査と,2)低炭素型交通システムの導入可能性調査(公共交通機関やパークアンドライド・システムへの移行可能性調査).これらを足掛かりに,県域全体に展開可能な枠組みを模索し,提言していく.

それぞれの組織がその持ち味を活かしつつ,アイディアを持ち寄り,互いにどういう連携ができるかを考えることで,社会的な実現が図れることもある.そのことは,「みなみから届ける環づくり会議」という,県南域の環境課題を解決していくために立ち上げられた協議会を運営する中で学んだ.今,「とくしま環境県民会議」の事務局として社会実験に取り組もうとしているのも,環づくり会議で一緒に仕事をした行政マン.僕はその行政マンによばれて「環づくり会議」で会議長を務めることになったのだけれど,今回の社会的枠組みづくりに向けた取り組みでも彼に呼ばれ,「とくしま環境県民会議」のワーキング・グループである「カーボン・オフセット推進検討会」の議長を務めることになった.

今日はその2回目の会合.実のところ,参加している誰もが(僕も含めて),カーボン・オフセットがどのようなものなのか理解できていない.これから互いに学びつつ,できることを出し合い,それぞれがどのような役割を果たしていくことができるのかを考えていく.僕の役割は,会議長として大きな方向を示し続け,皆を勇気づけ,Win & Win の関係を作り上げるためにどのようにすればいいか,そのアイディアを皆から引き出す手伝いをすること.ワークショップの運営は,その達人である澤田俊明さん([有]環境とまちづくり)にお任せ.

もう一つは,一参加者である研究者として,森林によるCO2固定量や吸収量を算定するための方法を考えること.これに関しては,「千年の森」の仲間と一緒にやっていく予定.どのようにしたらいいのか暗中模索ではあるけれど,今,千年の森で取り組みつつあるモニタリング調査と関連付けながらやっていく.

実際のところ,CO2の固定量や蓄積量を精度高く見積もることはほとんど不可能だろう.カーボンオフセットという政治がらみの話をうさんくさがる研究者も多い.そんな中でもこの仕事をやろうと思ったのは,山村で調査をするたびに,「山をどうにかしたいけどお金にならんから,何ともできん」と悲しそうな顔をして話をする山仕事をやってきた人に会うから.山で暮らしてきた人の話を聞くうちに,「ここまでしか見積もれない」という限界を示しながらも,わかったところまでで枠組みをつくり,オフセットすることで森づくりの資金を得ていくことが,劣化した森林や山村を再生するためには必要だと思うようになった.

単にCO2を固定するだけなら,スギでもヒノキでもOKだろう.でも,これからの森づくりは,自然性の高い広葉樹の森づくりも必要になる.カーボンオフセットの枠組みをつくる際には,どこにどのような森をつくっていくのかというビジョンもあわせて示していかなけば,意味がない.こちらについては,今までの仕事をベースとして論理的なゾーニング手法を提案できるに違いない.僕の本質的な役割は,むしろこちらにある.

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2008年8月29日 (金)

暖簾に腕押し

東環状大橋(仮称)の建設が進められている.朝夕の交通渋滞の緩和が主な目的となっている.一方,この橋は吉野川河口の干潟の上をとおることになっていて,橋脚の一つが干潟上に作られている.その干潟は,生物の宝庫となっていて,シオマネキやヒロクチカノコといった種をはじめとして,全国的には絶滅危惧種とされているものが普通に生活している.豊富なベントス(カニ類やゴカイなど)は,シギやチドリの餌となって,渡りを支えている.そのため,「東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク」にも登録されている.

「東環状大橋(仮称)環境アドバイザー会議」は,「徳島県が実施する東環状大橋(仮称)建設事業における環境監視に関する情報について,公正・中立性を保ち,科学的・客観的な解析・評価が行われるよう提言・助言を行うことを目的」とし,「1)環境監視に係る調査の内容・方法に関する提言,2)環境監視に係る調査の照査・解析・評価・公開に関する指導・助言,3)予測し得ない環境上の影響が出た場合の調査及び対策に関する指導・助言,4)その他,会議の目的を達成するために必要な事項」を行うこととなっている(設置要綱).

僕は,かなりの熱意をもってこの会議に参加してきた.「汽水域生態系モニタリング手法研究会」を徳島大学環境防災研究センターに組織して,モニタリング手法を検討し,県に提言もしてきた.

今日,その「東環状大橋(仮称)環境アドバイザー会議」があった.平成19年度(つまり昨年度)の報告書についてと,これからの解析方針についてが主な議題.毎年のことだけど,会議の何週間か前に分厚い報告書が渡されて,会議のときにその説明があり,内容を検討することになる.これはかなり疲弊する作業.報告書の中は生に近いデータがずっと続き,データを解釈するための分析はほとんど行われていない.「今は,アドバイザーたちの提言に基づいた調査が行われていて,解析と分析やそれに基づくモデル構築はこれから」と担当者は説明するけれど,その時点で虚しさが僕を襲う.毎年の調査の中でできること,確認すべきことはたくさんあるからだ.

そもそも調査というのは,何かを明らかにするために目標を持って行うものなのだから,当然,調査によって得られるデータの解析方針を念頭におきつつ調査設計がおこなわれるはずだ.何かを“科学的”に明らかにしていこうとするのなら,毎年のデータを使って解析してみて,解釈可能なことと不可能なことを見出し,課題を明確にしつつこれからなすべきことを考え,次のステップで改善していこうとし続けることが大事.行政であれコンサルであれ,そういう科学的思考は,大学の卒論や修論で学んできているはずだ.

河口域や干潟の環境評価手法が確立していない中で進められているのだから,担当者としてもどうしていいのかわからないという気持ちはわからないではない.でも,そういう科学的思考や,チャレンジというか,熱意を感じられないのがこの会議で,かなり疲弊する.科学的思考やチャレンジする気持ちを,担当者がアドバイザーに完全に預けてしまっている感じで,さらに,事業担当者も調査を請け負うコンサルもどんどん変わるので,なぜその調査を行おうとしていたのかという最も根源的なところさえ忘れられているのではないかと思ってしまうことすらある.

「暖簾に腕押し」というのは,こういう感じか..

さて,そのような中での今日の会議で注目したい結果が1つ.橋がかかることによって,シギやチドリ等の鳥類の飛行にどのような影響がでるのかを考えるための手がかりとして,東環状大橋が建設されている干潟(まだ橋はない)と,その1kmほど上流にある吉野川大橋で鳥の飛行高度を比較したもの.橋がない建設現場での飛行高度はほとんどが20m未満であったのに,吉野川大橋ではほとんどが20m以上となっていた.橋を避けて飛ぶために,高度があがるのかもしれない.橋の建設後,シギ・チドリは飛行高度を変化させざるを得ないのか,また,それによって採餌行動等に影響が出ないかどうか,影響が出そうな場合にはどのような対策をとるのか,このデータが単純に比較可能なものかどうかも含めて検討が必要だと思う.

また,ウモレマメガニという希少種の分布が橋脚を設置する予定の近辺に集中しているかもしれない,という一昨年の調査結果を受けて,それを明確にするたの調査が昨年度に行われた.その結果は,「よくわからなかった」というものであった.工事の影響を出さないよう,ウモレマメガニの分布を明らかにしようとする事業担当者の姿勢は評価できるものだ.けれども,そうした努力や成果を,目前に迫った工事にどのように反映させようとしているのどうかは定かではない.「よくわからない」という状況の中で何をすべきかを考え,意思決定していくことが求められる.その決定に際しては,「予防原理」を採用することが重要だ.

再び苦言になるけれど,こうしたデータを示しておきながら,それについて何の解釈も次の計画も検討もしようとしていないことには,かなり呆れた.. 何のための調査なのか,いつもその目的に立ち戻りつつ,出てきた結果に関心を持ってもらいたい.そして,検討することにチャレンジする姿勢を示してもらいたい.それが「説明責任を果たす」ということだろう.

科学的思考を醸成できないまま技術者になってしまっているのなら,それは,僕たち大学人の責任でもある.僕自身は,研究室のみんなには,きちんと調査設計ができて,その方針に基づいた調査ができる人,そして,その方法や結果をきちんと説明できる人,つまり説明責任を果たせる人になって欲しいと願っている.

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先日の合同ゼミと九工大の旅行の様子,明石君も紹介してくれてる.いい感性をもってるなあ.

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2008年8月27日 (水)

ルイスハンミョウ

ルイスハンミョウという小さな昆虫が海辺に住んでいる.絶滅が危ぶまれている.

ルイスハンミョウが住んでいるのは,波があまりあたらない,静穏な浜.ルイスハンミョウの成虫は,そこで素早く動き回りながらアリなどを捕まえて食べる.幼虫は潮が満ちてきたときにはつかりそうになるようなところに穴をほって巣をつくり,じっと潜みながらヒメハマトビムシを捕まえて食べる.そのヒメハマトビムシは,海辺に流れ着く海藻などの植物を食べて育つ.

海と陸の結節点の象徴とも言えるルイスハンミョウが住んでいるところに高速道路がつくられることになって,その代替生息地として人工の海浜が作られつつある.でも,それを達成することは並大抵のことではない.ルイスハンミョウが住んでいる場所を精査し,それをモデルにして,浜を構成する砂やシルトの割合を決め,波あたりを計算し,海浜の勾配を決めて骨格をつくったあと,漂着ゴミを調査し,ヒメハマトビムシやアリを数え... そんなことを繰り返しながら作られてきた海浜で,今年,ルイスハンミョウが産まれた.

今,この日本でルイスハンミョウについて一番詳しいのは,去年までこの事業を担当していた県の土木技術者だと思う.彼は,身銭をきって,日本各地のルイスハンミョウの生息地を訪ね歩き,情報を集め,そして,それを楽しんでいた.ルイスハンミョウについて語る彼はとても活き活きしていた.

この数年,「徳島県マリンピア沖洲環境調査委員会」で調査方針について意見を述べてきた僕は,今日の委員会で,ここまでの成功を素直に喜んだ.彼の顔を思い浮かべながら..

ルイスハンミョウが住んでいた場所の埋め立てを前にして,ルイスハンミョウの引っ越し作業が始まる.彼・彼女らが,ずっとそこで住んでいけるのかどうか,これからモニタリングをとおして見守っていかなくてはならない.「徳島県マリンピア沖洲環境調査委員会」は,これからセカンドステージにはいる.

生き物の住み場が失われ,その代わりの住処を作ることになった場合,できる限りの知恵をしぼって,その生き物が快適に住める環境を整えないとならない.でも,それには不確実性がつきまとう.本当にこれでよかったのか,大丈夫なのだろうか.. そんな疑問と不安が,僕の頭の中でこれからも渦を巻き続けるのだろう.

代替地を作り,維持していくための労力と時間とお金をかける前に,もともとの住み場所を壊さないでやっていく方法をじっくりと考えることのほうが,本当はもっと重要なのだ.

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先日の九州工大との合同ゼミの様子,伊東さんも紹介してくれている.

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