第3回 生物多様性協働フォーラム、兵庫県公民館(神戸)にて、14時〜17時30分。400人の参加、大盛況。
菊地さん(結・社会デザイン事務所 / アミタ)が紹介された、一つ一つの企業が関与して保全していく1種もしくは1生息地を決めて、活動していくという方式には、とても感銘を受けた。こんな活動が、徳島でも広がっていかないかな。
以下、メモ。
● 山西(大阪自然史博物館)
大阪市での地域戦略づくりについて、審議会が答申。策定過程では、大阪自然史博物館が協力。
● 中瀬(人と自然の博物館)
行政の仕組みを利用した企業の森づくりについて
◯ 民産官学の目標
保全
兵庫:戦略、生物多様性指針?
防災・減災
災害に強い森づくり
文化の保全・創造
里山、都市山(六甲山)
県民の参画と協働の促進に関する条例
企業が参画する際の課題
情報・知識の不足
活動メニュー(場所の確保)
外部会館との連携
博物館による企業の参画支援
調査研究、学習支援、コーディネート(ボンディング、ブリッジング)
◯ 企業と森づくり
企業の森づくり事業
緑化推進協会・兵庫県
ひょうご森づくりセンター
コーディネート、プランニング、トレーニング、アクション
企業の森・里づくり事業
丹波県民局(事務系職員) →地域住民、ひとはく、企業 委員会
農山村地域の環境問題の解決
企業と小地域(集落)のマッチング
→企業職員の福利厚生の場
都市・農村の交流
尼崎21世紀の森づくり
企業緑地の活用
絶滅危惧種の保全
三星ベルト
ひとはくでの職員研修
神戸市側の小学校にはすべてビオトープができた
市民NPOのサポート
三星ベルトによる資材、技術・人材サポート
ミツカン酢
食品工場のまわりに里山造成
◯ 消費者
生物多様性に係る消費者の価値観
エシカル(倫理的)消費、CBRM
● 菊地(結・社会デザイン事務所 / アミタ)
丸紅→ アサザ基金→ 鷲谷研 コーディネート
滋賀県の生物多様性活動= 地域の強みを引き出し、もり立てていくこと
琵琶湖という環境アイコン
琵琶湖いきものイニシアティブ 滋賀経済同友会 10項目の宣言
滋賀県は中小企業が多い
→ 1企業1種もしくは1生息地への関与
→ 持続可能な一次産業の支援
企業も地域社会の一員としての認識
湖南企業いきもの応援団
kikito (湖東地域材循環システム協議会)
淀川水系1400万人のいのちの水を育む「琵琶湖の森」
kikitoマーク、QRコードを使ったトレーサビリティ
kikito paper 端材の買取、オフィス用紙として加工
たかしま生きもの田んぼ・ライス8アクション
特定のいきものをシンボルとしてブランド化は行わない
→ 各農家が自慢の生き物を設定。米穀店からの申し出、「打ち上げの一部 8円/1kg を、生き物との共生を目的した活動の支援に」。
● 山田(ブリヂストン)
ブリジストンびわ湖生命(いのち)の水プロジェクト
地域での環境保全活動の中で企業の果たす役割
環境宣言 社会活動としての位置づけ
地域の一員としての会社、地域の人々と結びついた活動
2004年〜2010年 WWFジャパンとの共同プロジェクトとして開始。WWFによる基盤づくり。
2011年〜
・自然観察会
70〜80名/1回
5〜6名の従業員がスタッフとして参加
+琵琶湖博の協力+地域の方々のサポート
・絶滅危惧種繁殖に観する研究活動支援
ビオトープ(びわトープ)を造成
カワバタモロコの繁殖研究支援(三重大)、環境教育
・琵琶湖博物館常設展示の支援
滋賀県知事からの感謝状
企業が果たせる役割
1.地域社会への積極的な参画
2.課題の共有と期待される役割の確認
それぞれのセクターができること(役割)を確認することが重要
3.リソース(従業員、事業所、PRなど)の有効活用
● 対談:井戸兵庫県知事、嘉田滋賀県知事
進行:岩槻 人と自然の博物館長
◯ 井戸
関西広域連合(2府5県);地方自治法にもとづく(EUモデル)
1.関西全体として取り組むべき仕事
防災、観光と文化振興、産業振興
環境保全 (例えば、カワウ)
広域医療 860回/1年(特に山陰)
2.国の事務を引き受ける(地方自治、地方分権)
国に任せると標準的・画一的な思想での施策となる
戦後復興の時にはよかったが、今の時代の価値観にはあわない
3.地方が主体的となるしくみを創り上げる
今までは国に対して要請だけしていた
◯ 嘉田
滋賀全体として広域連合だ、という雰囲気にはなりにくい(大阪等に集中して、他は切り捨てられるのではないか)。この中で、環境はまとまりやすいかも。
生き物の多様性およびCO2対策
関西の生物多様性は文化の多様性とセット
1)2030年にどうあるべきか
2)どのように持っていくか
3)具体的な施策
対立型社会モデル:自然の囲い込み
重なり型社会モデル:自然を使いながら守る
多様性の危機
1)人間活動や開発による危機
ダム開発など 琵琶湖総合開発
2)人間活動の縮小による危機
里山 マツタケ
セタシジミのシジミ掻き(とればとるほど酸素が供給される)=里海
3)人間に持ち込まれたものによる危機
シカ(兵庫12万頭、滋賀25000頭、もっと)
カワウ
ブラックバス
4)地球温暖化の危機
関西が目指すべき姿(2030年頃)
目標:地球環境に対応し、持続可能な社会を実現する関西(環境先進地域)
・CO2半減(ウランや石油等、いずれ枯渇する資源に依存しない)
→滋賀では条例をつくった
自然と触れ合うことによる価値
食文化と風景
生物多様性の 使用価値、触れ合い価値、存在価値 をセットとして皆で享受しながら、将来に伝える。すべての山と川がセットで価値を持っている。
まずはカワウ対策
ニホンジカ、アライグマにどう拡げるか
博物館ネットワークを利用した情報共有
生物多様性に関する情報の共有・一元化
うおの会→3000箇所での調査
報告書印刷など、ブリジストンや経済同友会が支援
◯ 岩槻
災害と生物多様性 標本のレスキュー
→ 西日本自然史系博物館ネットワークが機能
→ 館長同士のみならず、担当者同士が直接やりとりをしていたこと
兵庫県での生物多様性に対しての対応は?
森林動物研究センター
防災に対応する森づくり ←緑の環境税
◯ 井戸
シカ 30000頭/年 駆除 5年間で平衡水準になるだろう
限界集落での言葉:黒い森が集落に迫ってくると危ない=手入れされない人工林=災害に弱い森
新兵庫の森づくり 間伐を公費でやってしまう
里山に人が入れるように 10000ha
森林ボランティア 10000人
県民緑税 800円/1世帯 企業には1割上乗せ 5年間で100億円
→ 8年前の豊岡等での水害経験がきっかけ
→ 傾斜度30度くらいの人工林には間伐をして根本に土砂くずれ防止柵
広葉樹の混在化
里山(裏山)の整備
集落周辺にバッファーゾーンをつくり、奥山に広葉樹林帯をつくる
森林動物研究センター
→野生動物との共生空間をどのようにつくるか、に対しての科学的根拠
シカ分布状態の把握
→人と接点を持つ場合には、どのような方法がいいのか
→研究者と林業普及員を配置
林業普及員は全員がセンター職員を兼ねてくれたらいい
森林保安官としての仕事
◯ 岩槻
生物多様性戦略
企業をはじめ様々なセクターの人が関与するようになった
県のみならず、様々な市町村、集まりで戦略ができていけばいい
近畿圏全体としての推進は?
◯ 嘉田
住民参加の生き物調査が一斉にできる時代 GPS携帯など
マスコミの協力があれば進みやすい
コウノトリが好きな魚さがし
国の出先機関のまるごと移管
国交省、通産、環境省 → 利水・治水・環境セットでのガバナンス
◯ 井戸
兵庫県 策定済み 神戸と明石、 検討中 。。
コウノトリの野生復帰PJ
=コウノトリが生息できる環境をつくれるか
→地域の人が有機・無農薬農業を推進してくれるかどうか
→自然護岸の川、湿地帯を回復できるか
→アカマツ林を回復できるか
「コウノトリを育むお米」→TPP対策の一つに位置づけられないか
中国への輸出
◯ 岩槻
都市近郊の里山は関心が高まりいい方向に進みつつある
中山間地域の里地里山をどうするか
北摂まるごとミュージアム
国内向け里山イニシアティブが必要
◯ 嘉田
二つの意味を意図的にもたす
1.Forest 森
2.広義の里山 琵琶湖全体
問題はシカ。獣害。
カンアオイが食べられてギフチョウがいない
トチの実がならない(ミツバチの減少)
◯ 岩槻
フォーラムへのコメントは?
◯ 井戸
小学校3年生 少なくとも年3回は自然の中に出かけて、体験し、命の不思議さを感じてもらうようにしている(カボチャの栽培)。5万人の子供たちが参加していることになる。
子供たちが種を播いたあとのサポート体制が重要。
◯ 嘉田
関西ネットワークの人材がいることの安心感
広域連合にはいることによって、他の自治体の良さを学べる
職員が他流試合をしながら
次は上流の琵琶湖で。。
下流の子供たちにも湖上体験を。船をつくりたい。。
● 渡辺(環境省)
120を超える自治体が生物多様性自治体ネットワークに加入
地域からのボトムアップによるしくみの大切さ
知床世界遺産に係る仕事をしていた時の、「自然を守ることの重要性は自分たちが一番よく知っている」という漁師の言葉が心に残っている。全国の国立公園レンジャーが、地域と一緒に協働型の管理システムをつくれるようしたい。そして、新国家戦略と地域戦略が相互に響きあうような関係になれば。